研究概要

自動車の自動運転やシェアリングなど、百年に一度の移動革命が進行中と言われるなか、ICTを活用したヴァーチャル活動、いわゆる「サイバー化」もますます盛んになっている。ICT利用は交通（実空間移動）に「代替」「促進」「補完」の三種類の影響を与える。まず、「代替」は最もわかりやすい影響で、移動する代わりにICT利用で活動を行うことである。次に、「代替」の真逆である「促進」である。これは、ICT利用によって移動の目的地の情報が手に入れやすくなり、結果として交通を増やすという効果である。最後の影響は「補完」と呼ばれ、ICTがフィジカルな移動を高度化するというものである。まさにITSがこれを目指しており、交通情報の提供、経路の推奨、料金決済の自動化、危険可能性の警告など、移動の利便性を大いに向上させることができる。
このようにICTはその技術の進展に従って様々な形で交通に影響を与えているが、その関係性を定量的に評価した研究は稀である。本研究では、移動を伴わないヴァーチャル活動と、移動を伴う実空間活動の価値を、「交通」と「活動」の観点から科学的に評価・計測する方法論を確立するとともに、それらがモビリティ革命へもたらす影響を総合的に評価する。